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6・15日時:2024年6月15日(土) 13:30~15:30 場所:シリウス607 テーマ:「子どもが戦争と平和への理解を深めるためには」 参加者:10名(うちオンライン1名) 今回は、「子どもが戦争と平和への理解を深めるためには」というテーマで、学校での平和教育の現状を振り返り、課題や改善策について、参加者のみなさんと意見を出し合いましたした。 現状では、児童・生徒の発達段階に応じて、小学校3年生から国語科や社会科、道徳、総合、学校行事などで、中学校ではこれに加えて英語などでも、平和に関する教材が扱われています。しかし、子どもたちが今の自分たちとつなげて、自ら平和を考えるところまで、十分に教えられていません。 課題としては、日本の教育では主に太平洋戦争しか教えておらず、今の子どもたちがイメージする戦争とギャップがあるのではないか、教材で扱う前に、日頃から社会問題について話す雰囲気づくりが必要なのではないか、各教科で扱う教材には、教科としての狙いが別にあるため、教科の中で平和を十分に扱おうとすると苦しいのではないか、自分の身の回りがどうあるべきか、自分の生活に戻して考えることが必要なのではないか、などの意見が出されました。 次に、小学校6年生の総合の時間に、子どもたちが戦争について調べ学習をした実践報告を聞きました。もっと戦争について知ってもらおうと、友だちに働きかけるなど、自分たちで学んだことを広げる姿が見られた一方で、歴史について教える時に、教科書には被害の部分が書かれていることが多く、加害についてどこまで触れたらよいのか、また、意識の高い一部の児童だけではなく、全ての児童が考えられるような手立てが必要だという課題も挙げられました。 学習会を通して、平和は遠いものではなく身近なもので、日常で語られるべきものだという言葉が印象に残りました。大人がまずは知ること、語ることをして、日頃からもっと子どもと一緒に平和について考えていきたいと思いました。
2024年08月16日 理論学習会 【報告】6/15学習会
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理論学習会報告 日時:2024年4月27日(土) 13:30~15:30 場所:シリウス603 テーマ:「戦後の学力観における学校現場の限界」 参加者:8名 今回は、戦後から現在までの「学力」の変遷に焦点をあて、時代ごとにどのような「学力」が求められてきたのかについて、整理しました。経済界が要求する人材育成と学校で子どもたちに求める学力観がつながっていて、時代と共にどんどん色濃くなってきていることが分かります。 戦後すぐ1947年には、経験主義の考え方に影響を受けた児童中心の教育観があり、まだ教科書がなく、教師が自分たちの裁量で教材を見つけてくるなど、各地域ならではの教育実践が数多くある時代でした。 その後、1958年以降、知識や技能の系統を重視する系統主義に変わっていきます。高度経済成長期の日本では、程度良質で均質な労働力の育成が求められ、経済成長を支える人材育成が進められます。 1980年以降はゆとり教育、1989年以降は個性重視と生きる力がキーワードとなり、社会の変化に対応していける「自己教育力の育成」への転換が謳われました。この頃、高度経済成長期が終わり、日本と同じ製品を外国でも作れるようになった結果、新しく高度で付加価値のある製品を生み出す必要が出てきました。 1998年ゆとり教育の拡大によって学力低下や学力格差の拡大が課題となり、脱ゆとり教育へ転換していきます。確かな学力や豊かな人間性、健康・体力を柱とする「生きる力」の育成に重点が置かれます。 現在は、予測困難な時代の中でも、自ら課題を見つけ、自ら学び、考え、判断して行動していく力が求められています。変化の激しい社会で生き抜く力を子どもたちに身につけようと、プログラミングや外国語など、さまざまなことを教えようしています。しかし、一方で不登校児童数は増加しており、その中でも無気力や不安から学校に来れない児童が半数以上いることが分かります。 また、都市部の学校に行くほど、クレーム対策としてクラス間の格差を減らそうと、教材や指導の仕方をそろえようという動きがあり、教師の裁量でのびのびと指導できる幅が狭くなっているところにも、学校の窮屈さを感じます。 子どもたちが安心して学べる学校をつくるにはどうすればよいのか、引き続き、次回以降の学習会でも考えていきたいと思います。
2024年05月22日 理論学習会 【報告】4/27学習会
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4/29学習会報告 内容:「『学習』『評価』から、今の学校教育が目指しているものを整理する」 日時:2022年4月29日(金)13:00~15:00 会場:大和市シリウスとZoomによるオンライン同時開催 参加者:11名 前半は、子どもにとって必要な学力とは何か、戦後どのように変わってきたのかを資料から探りました。使った資料は「指導要領の変遷」「産業界の人材・教育要求変化」「戦後の世界の動向」です。その時代の世界の状況、日本の状況を背景に、産業界が求める人材を育成すべく、指導要領が変化してきたことが分かりました。 後半は、子どもに何を学力として求めていくのか、意見を交わしました。学習に意欲をもてない子どもたちや言われたことに疑問をもたず、自分で考えることをしていないように見える子どもたちなど、目の前の子どもたちの様子を心配する声が上がりました。また、教室に入れない子へ人をつけて、その場での対応のみに終始しているような状況から、集団の中で子どもを育てる場所として機能していないのではないかという意見も出ました。 学校や教室が多様性を認め合う場所になるよう、子どもたち同士や子どもと教師の関係性をどのようにつくっていくかがとても重要だと感じました。子どもたちが社会へ出た時の姿を想像し、どんな学びが必要かを考えていきたいと思いました。 <参加者の感想> 今日の勉強会では、教師としてどんなことを子どもに身につけることができるか自分なりに考えることができました。考えている中で、自分の1ヶ月の行動を振り返ることができ反省する部分もありました。今回の勉強会を受け、週明けからどうしていくかをもう一度考えてみたいと思います。また、様々な立場の先生方と議論することができ、いい刺激になりました。 お話を聞いていて、自分も子どもを枠の中に押し込めてしまっていないか、きちんとさせよう、トラブルのないようにとあまり寛容に子どもと向き合えていないなと反省しました。子どもの未来を考えて、みらいにつながる学力を育てていくことが大切だと感じました。教師としての力量をもっとつけていかないといけないと思います。 学校が楽しい場所、子どもたち自身が行きたい!と思える場所となるには、教員が変わらないといけないなと思いました。悪いレッテルを張られないようにするため、先生に怒られないようにするため、子どもたちはきっといろんなことを我慢したり、諦めたりしているような気がしています。私が子どもの頃は、自分の思うこと認めてくれる、不安や心配なことを表に出せる場所が学校だったと思います。皆さんと話をしながら、「学校を変える!」という気持ちで、これからできることを皆さんで考えていきたいと思いました。 不確実な社会の変化についていける、対応できる人材を育てるための学校教育…。どうしたら良いのか、私たちがすべきことは何か、私たちの心構えは、など、改めて考える機会となりました。ずっと疑問に思っていたことでした。前を向いて座っている子どもたち、とてもいい子、でも、これからの社会に必要なのは本当にそういう子どもたちなのか?大切なのは、なぜそうするのか?いろいろな物事になぜ?を自分の頭で考えられる子どもなのではないか?と思っています。本日は貴重な機会をありがとうございました。 子どもへの指導は、その子が将来よりよく生きるために必要な、人として生きる力を育むことであると考えます。それは、人との関りの中で行われるものです。子どもにどのような価値観を育むかは大人である教員によるところが大きく、教員自身が多様な価値観を持って関わることが大切だと思います。 社会の変遷と学校を巡る状況をリンクさせて考えられて勉強になりました。現在の学習指導要領は、選ばれし者向けの内容なのかな、と思いました。求められる力が高すぎるような、抽象度が高いような。学校も求められることに適応できる子が選ばれて、どんどん教室から人が減っていきます。でも、人は減った訳ではなくて、個別学習や支援級に人が増えて、そこが吹き溜まりみたいになっています。住み分け細分化の勢いがものすごく速いです。私たちが声をあげるべきは何なのか。どこなのか。誰かと考えられる機会があり心強いです。
2022年06月01日 理論学習会 【報告】4月学習会
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11月10日(水)19時~21時 講演『教育と福祉のはざまで~垣根を超えた連携を目指して~』 講師 村元 良悦氏(大和市社会福祉協議会) 場所 大和市文化創造拠点シリウス&オンライン同時開催 参加者 10名(会場8名、オンライン2名) 今回の理論学習会は、教育(学校)と福祉の垣根を超えた子ども・家庭への支援やサポート、連携とその可能性について考える学習会を行いました。その中の講演では「地域福祉と社会福祉協議会~こどもファーストで考える教育と福祉の連携~」というテーマで、講師の村元良悦氏にお話をしていただきました。 ボランティア活動、援護事業、支援事業など、地域の住民の方への福祉サービスに関する社会福祉協議会の主な事業について話を聞く中で、参加者からは、「社会福祉協議会の活動について初めて知ることが多かった」という声が多くありました。講演後の意見交換の場では、参加者それぞれが目の前にいる子どもや家庭をイメージしながら、教育と福祉の「つながり」を見つけ出そうとする様子が見られました。 学習会後の感想では、「子どもや家庭に近い学校と(地域が)連携することで、より深い支援につながるのではないか」「もっと地域の方の力をお借りしていいのだなと安心できました。」という声があげられ、連携の広がり、地域とのつながりから子ども・家庭への支援を考える学習会となりました。
2022年05月07日 理論学習会 【報告】11月学習会
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形式 報告・座談会「『今』の学校、どうなっているの?」 報告 大和市内小・中学校教員 日時 2021年10月6日(水)19時~21時 Zoomによるオンライン同時開催 参加者 11名 コロナ禍での学校教育が1年以上経過した中で、今回の座談会は、子どもたちや教員の現状はどうなのか、学校は子どもたちに何を指し示しているのかを整理し、現場で働く先生たちの悩みや困っていることを声に出す場となった。 報告者の先生から、自校の様子や子どもたちの様子が報告された。パーテーションの有効性が示されない中で、食事以外でもあらゆる場面で使用することが強いられていること、宣言によってコロコロと変わる行事の計画づくり、chromebookのルーターに制限があり実態に沿えないこと、休み時間が制限され遊び足りない子どもたちの様子から、学校で子どもたちは、休まる時間がないのでは、と心配する声があった。そんな中でも、子どもが休み時間を終えて「全然遊べなかった。」とこぼす子どもに「じゃあ、授業の前にちょっとだけ座ってできる遊びをみんなでしよっか。」と遊んだという報告者の先生。子どもたちはきっと、遊ぶ時間をくれたことも嬉しかったと思うが、消化しきれない気持ちを先生が受け止めてくれたことも嬉しかったのではないかと想像された。 夏休み中の感染拡大を受け、夏休み前に想定していたほとんどのこと(学校生活、行事)がひっくり返ってしまった。感染拡大は、大人の世界の都合で起きた事なのに、学校の子どもの世界の様々なことが規制されていった。大人の世界の規制は、法律のもと慎重に行われるが、学校内の規制は際限なく科学的根拠なく、各学校長の判断のもとという名のもとに行われ、疲弊しきっている先生たちの姿もあった。今回の座談会を通して、子どもの声を聴くということが、教育活動の中で大事なことであること、また、子どもたちが誰かと何かを協力したり協働したりする機会を作れるのが学校ではないかということが再確認された。小さなことでも、出来ることからはじめようと先生たち自身が口にできたことがよかった。また、同じ市内でも学校によって対応や対策がバラバラで、教育的意義を前提とした対策なのか、バッシング対応としての対策なのか、学校によって色濃く違いが出ており、そのことも先生たちを疲弊させていた。そして、ある学校では、感染不安で学校を休んでも親が学習を保証できている一方、保護者が生活のために働きに出ているためそれが難しく、それ以上に暴力やネグレクトなど命に係わる問題が差し迫っている学校もあり、家庭環境の差がさらに開いていることが分かった。現場で働く人たちは、子どもの声を一番近くで聴ける存在でもある。様々な困難の中にあるが、自分の働く地域の実情や子どもの姿を受け止め、教育に関わるものとして学校づくりに主体的に参加することにも大きな意義があるのではないかということも話し合われた。 ≪参加者の感想≫ 今日は、たくさんの学校現場の声を聞くことができて、勉強になりました。この2学期、自分も久しぶりに学校に行き、見ているなかで、先生方の迷いや諦めを見ることもありました。でも、先生方の前向きな姿も感じました。子どもが学校を諦めないように、先生もがんばらなきゃいけないなと思いました。ありがとうございました。 私は、子どもたちは、このような中でもたくましく生きていくと思っています。それを支え、価値を、特に、これまでには見過ごしてきた価値を見出させるのが、教員の仕事なのではないかと考えています。そのためにも、私たち教員が、思考を限定せず、制限を設けず、できる限り子どもの声を聞いて、一緒にこの難局に立ち向かっていくことができたらよいと思います。それは、学校を運営する教員も同じで、それぞれの考えを、理解するチャンスにできたらよいと思っています。ありがとうございました。 グループの中で出たお話で、夏休みの延期について、子どもたちは「夏休みが長くなったということは、状況が悪くなったということでしょ?」という子どもの発言があったと聞きました。このような状況だけど、だからこそ、子どもたちはいろいろな状況を読み取り、考えているんだなと思いました。いろいろな今の学校の状況を知ることができて、本当に勉強になりました。同じ市内なのに学校によって取り組みや対応が違うことに少々驚きました・・。教員集団の在り方がとても影響していることを感じました。その中でも、先生の子どもに寄り添う姿がとても印象的で、少し心が温かくなりました。 先生のお話の中にあった「子どもはみんなで何かをするのが好き。」という言葉が心に残りました。自分は一人の教員として大人として、子どもの思いに寄り添えているのかなと振り返る機会をいただきました。せっかく学校に来てるんだし、せっかくこのクラスになったんだし、という子どもに対する気持ちを日々の教育活動の中で具体化していきたいです。 今日参加されたみなさんの意見を聞くことで、コロナ禍だからこそ考えられるあたらしい発見があることを再認識しました。子どもたちと一緒に新しいものを生み出せることに感謝して務めていきたいと思います。マイナスをいかにプラスにできるか。そんなことを職場の先生方と共有したり、発信していきます。 先生方のお話を聞いて、苦労されながらも努力されている様子がうかがえました。「コロナだから何もできない」ではなく「コロナだけど何ができるか」という気持ちが大事だと思います。子どもたちも保護者も様々な形でコロナの影響を受けていますが、それは先生たちにも言えることです。大変なときや困ったときは、お互い話し合うことも忘れてはならないと思います。
2021年10月14日 理論学習会 10月学習会の報告
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【6月2日 理論学習会報告】 主題 実践報告会 小学校・中学校の現場から 講師 横山勇気 教諭(小学校) 大橋むつ子 教諭(中学校) 日時 2021年6月2日(水)19:00~21:00 会場 オンライン 参加人数 21名 小学校と中学校からお二人の先生に実践報告をしていただきました。クラスで出会った弱い立場に置かれている子どもに対して、担任として寄り添い、粘り強く取り組みを続けていく中で、本人や周囲の状況が少しずつ前向きに変化していく様子が分かりました。 まず、担任がその子を守るという信念をもち、積極的に関わること。働きかける過程で、担任の姿勢が周りにも伝わり、クラスや学校全体がその子の居場所をつくっていました。また、その子を支えるため、支援級担任や国際担当教諭、養護教諭やスクールソーシャルワーカーなど、周りを巻き込んで支援の輪をつなぎ、チームで対応することが欠かせないことも分かりました。 後半は「実践の中で子どもにとって資源になったことは何か」をテーマに、グループに分かれ意見交換をしました。資源は「人と時間と場所、人とのつながり、子どもたちと向き合い続けること」など様々な意見が出ました。家庭で資源が少ない子ほど、学校の役割が重要になってきます。弱い立場に置かれる子をいかに資源とつなげるかが課題です。 今回の学習会を通して、教師として大切にすべきものや今までの自分の実践を見直す貴重な機会をもつことができました。
2021年09月14日 理論学習会 6月学習会の報告
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主題 教師として私たちが大事にすべきこと 講師 柿本 隆夫氏 日時 5月15日(土)13:00~15:00 会場(大和市生涯学習センター)での講演とオンライン(zoom)の併用で開催 参加人数 会場21名 オンライン33名、 合計 54名 今回は、柿本隆夫氏を講師にお招きし、「教師として私たちが大事にすべきこと」というテーマで講演会を行いました。 講演では、先生の経験や実践から「教師の分岐点」という内容についてお話をしていただきました。その中で、教師は常に自己決定を求められる仕事であるということ、またその分岐点でどのような選択をするのかで、「子どもの言葉を聞かせてもらえる教師」かどうかが決まるという話がありました。上手くいかない、社会的に弱い立場にいる子どもたちにとって、教師は受け入れてくれる存在なのか、それとも排除する存在なのか。子どもたちは問い続けているし、教師は問い続けられているという先生の言葉は、それぞれが教師として経験したこれまでの「分岐点」を振り返る機会となりました。 また、うまくいかないことを個人の問題とするのではなく社会の問題として考えることや、学校がケアの役割を持っているというお話もありました。社会と個人をどのように捉え、うまくいかない子どもたちの現状や社会的・経済的格差を実態として感じ取れるかどうか、そのことを容認するかしないか、具体的対応をイメージできるか・・。私たちに向けられた問いかけは、教師という仕事やその存在の意味、そして、格差をなくすことはできなくても差を縮めることはできるのではないかという学校(教師)の役割についても考えさせられるものでした。 参加者の感想からは、「子どもたちの声が聞ける教師でありたいと強く感じました。」「明日以降の活力が湧いてきました。」「しんどいことも多い現場ですが、柿本先生のお話(今日投げかけられた問い)を思い出しながら、頑張ります‼」などが寄せられ、今回のお話は、私たちにできることはどのようなことがあるのかを考え、学ぶとともに、柿本先生から教師への応援メッセージとしての意味も大きくあった講演会となりました。
2021年06月28日 理論学習会 5月学習会の報告
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【事業総括】 今年度は、コロナの影響で学校がこれまで抱えていた課題がより目に見える形となった。現場で教員が目の前に突き付けられた課題を整理したり、多角的な視点で学校や子どもの育ちを考えたりする機会として本学習会が機能した一年であった。 緊急事態宣言下では、開催をオンラインに切り替えた。その後、より多様な参加の仕方を模索し、会場を借りてスクリーンを設置し、ライブ中継をして開催した。直接会場に来たい人も、子どもがいたり体調に不安があったりして自宅から参加したい人、他地域の人も含みこんで一つの空間で議論ができた。参加者の層が広がったので、この同時開催の有効性を感じた。機材の設置など大変に思えたが、実際やってみることでハードルが下がり、運営側としては出来ることが増えてよかった。また、コロナでそれぞれの参加者がもつ危機感が可視化され、話したいという思いをもって参加される方が多く、学校の現状について情報交換したり、悩みを話したりする場にもなっていた。多忙な中だからこそ、改めて時間をとって現状を確認し合う場の必要性を感じた。 事業目標に加えて、実践につながることを意識した全4回の学習会では、教員からの実践報告と事例報告、さらに教育学と社会福祉の専門の先生の講演を組み込んだ。理論的な話から現場の具体に落として考えたり、事例に対して専門的な知識を得てアプローチを考えたりすることができた。 参加者との議論の中で、競争的なシステムの中で過ごすことを強いられている子どもたちにとって、不利な立場にある子どもはさらに不利な立場に追いやられていく現状が見えてきた。そのことに気づいたとき、現場で教員は誰に寄り添い何をどう導くのか、どこに向かって何を発信することができるのか、という課題が立った。担任として教室を包括的にとらえる視点、子ども個人の背景を分析する視点、現在の社会構造と関連させる視点、授業の中に仕組みをつくる視点、縦割りではなく他機関とつながる視点、はざまにあるものに目を向ける視点などなど、様々な意見が出てきた。色々な立場の人と意見を交えることで、学校の特殊性が明らかになった部分もあるだろう。本学習会のベースにある「教育と貧困」の問題は、格差が広がる社会の中で容認されつつある空気すら感じる。だからこそ、これをテーマに声を上げていく必要があると考えている。学んだことを他の場面で使うことができれば、教育現場においても、これまでとは異なる展開の可能性もあるはずであり、本年度は実践につながる現実的な取り組みにつなげられる機会となった。 コロナの影響で保護司の方にお話を頂くことが叶わなかったので、今後の学習会にて開催出来たらと考えている。 【活動代表】清水美希・馬場有希 【内容・日時・場所】 第1回:5月13日(水)19時~21時 学級づくり~子どもが育つ集団をつくる~ 講師:清水睦美氏(日本女子大学教授) 場所:オンライン(Zoom) 参加人数:16名 第2回:6月6日(土)13時~15時 支援が必要な子、弱い立場の子を周りの子との関わりの中で育む 報告:岡部千春氏(大和市立上和田小学校教授) 場所:オンライン(Zoom) 参加人数:17名 第3回:10月7日(水)19時~21時 報告・座談会「『今』の学校、どうなっているの?」 報告:大和市内小・中学校教員 場所:大和市シリウス610&オンライン(Zoom) 参加者:10名 第4回:11月4日(水)19時~21時 事例検討会「人と制度、機関をつなげる実践」 報告:大和市内中学校教員 講師:今井伸氏(十文字学園女子大学教授) 場所:大和市文化創造拠点シリウス610&オンライン(Zoom) 参加者:15名(会場11名、オンライン4名) (全4回。のべ参加者数58名)
2021年03月02日 理論学習会 2020年度理論学習会総括
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6/6理論学習会報告 テーマ:支援が必要な子、弱い立場の子を周りの子との関わりの中で育む 報告: 岡部千春 教諭(大和市立上和田小学校) 日時: 2020年6月6日(土)13:00~15:00 Zoomによるオンライン開催(参加人数16名) 今回もzoomを使ってオンラインで学習会を行った。 最初の約40分間は、岡部教諭からこれまでの実践を報告していただいた。 岡本教諭は「誰にでも支援は必要!」という話から始められ、「担任として大切にしていること」をベースに、子どもたちとの関わり方を事例とともに報告された。 そして「誰も完璧じゃない!安心していられるクラスに」すること、子どもたちを「困らせない・イライラさせない工夫をする」こと、「ドアも心もオープンに!」というスタンスで、支援・指導する側、つまり教職員の関係づくりをすることが大切という話があった。 参加者の感想からも、「3つの心理空間の活用で、人との関わり方の学習を実践的にできるのはすごいなと思いました。」や「さまざまな支援実践や支援策の具体をお話しいただき勉強になりました。何より岡部先生の子どものことを第一に考えているという想いが伝わってくる内容でした。」など、今回の話から、これからの子どもたちへの支援や周りの子どもたちへの関わり方を考える内容が見られた。 また、後半のグループに分かれての話し合いでは、学校内での支援の様子や具体的な指導方法、また支援が必要な子どもたちへの関わりかたが話された。2回目のグループでの話し合いでは、分散登校が始まった学校の様子や今後の学校生活の中で、どのようなことを進めていくことが必要かなど、参加者の中でも意見交換や参考になる実践が話され、「学校でやってみたい」といった声も聞こえた。
2020年06月12日 理論学習会 6/6理論学習会報告
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主題 学級づくり 子どもが育つ集団をつくる 講師 清水睦美氏(日本女子大学) 日時 5月13日(水)19時~21時 zoomを用いたオンライン形式で開催 参加人数 26名 今回はzoomを使ってオンラインで学習会を行いました。講演①30分、3,4人のグループで意見交流、講演②30分、3,4人のグループで意見交流、まとめという形で学習会を進めました。 講演①では、そもそも学級集団とは何かについて考えました。たまたま集められた人たちの集団であることを教師は理解していなくてはなりません。多様なニーズが求められる中で、うまくいかない子を取り出して対応するのではなく、うまくいかない子に合わせて教室のかたちを変える。変わるべきはマジョリティの人たちであることを学びました。 講演②では、異なる価値観を持つ人たちがたまたま集まった学級集団の意味や、教師がどのように見とるかについて考えました。多様な考えを各個人が持っているからこそ、問題が起きたときにどう向き合わせ、関係を編み直していくかを考えられるようにすることで、個人としての意思決定を尊重することができると学びました。集団を見とる際には、その集団の特徴を捉えること、力に対しどのような位置関係を結ぼうとしているか、そこから生まれるいじめの構造、学級が民主的な集団として機能できているかを考えることが大切だと学びました。 コロナ禍において社会のなかに排除的な風土が形成されつつあることから、学校現場ではいじめがより起こりやすくなるだろうと考えていたので、気を引き締めなければならないと思いました。参加者の感想には、「教師の方から意図的に、相手の立場に立って物事を考える機会を設けたり、互いに補完し合っていく関係になれるよう働きかけていくことが必要であると感じました。」「子どもたちが同じ価値観をもつ危険性について改めて考えさせられました。」などがありました。教師自身が意識を変えていかなければならないと強く感じた学習会でした。
2020年05月24日 理論学習会 5/13学級づくり学習会報告