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【報告】3/29授業研究会 授業研究会報告:第1回(3月29日) 参加者11名(対面のみ) 2025年度の授業研究会の一つの柱は、東京一極集中を促してきた高度経済成長の背後の資本主義に焦点をあてつつ、東京と地方の教育にどのような格差を生みだしてきたのか、また、その格差を解消するための道筋として、どのようなことを考えればいいのかを検討するということです。 今回は卒業論文で「脱資本主義の思想としての地方移住の可能性を考える-教育観や子育てに対する考え方に焦点を当てて-」に取り組んだ門井みなみさんに報告をお願いし、それをもとに検討を行いました。 論文に対しては、現在の学校教育が資本主義の担い手育成の装置になっていることを明言しており共感がもてた。また、地方移住に資本主義からの逃れる可能性を見出している人々がいるものの、そこで新たな価値観に出会うのではなく、再び子育ての中で資本主義に絡めとられていくことへの葛藤が見受けられることも興味深かった、という感想があがりました。 他方、今回の論文検討を通して、次の課題を検討する必要が共有されました。 ①地方に都市部とは違った価値観を見出しているとすれば、それは何であるのか、そこに学校教育を絡んでいくことができるのか。 ②人間の権利に対する考え方の浸透は、外国人労働者の処遇などの問題は見れば、地方より都市部の方が進んでいるように見えるが、この問題をどのように考えていくのか。 ③地方の中に入り込んで、都市部の資本主義とは異なる社会経済活動を構築する動きがあるとすれば、そのような具体的な事例があるのか。 以上の課題は、今後の研究会の中で深めていくことになりました。
学校支援活動
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夏休みの宿題 ※しばらくエステレージャ教室の報告が滞っておりました。 もう少し頻繁に教室の様子をお伝えできるようにしたいと考えております。 【2025年8月9日 エステレージャ教室の記録より】 中学2年生のS君が久しぶりに教室に顔を出しました。 聞けば、今日はサッカーの練習がないのだそうです。このところものすごい暑さなので、大変ではないのかと尋ねると、さすがに「大変です」と苦笑いをしていました。そして昨日は練習があったのだけれど、暑すぎたのと体調を崩したので休みました、とも言っていました。 そんなS君ですが、今日は教室にたくさんの宿題を持ってきました。何をするのかと尋ねると国語のワークを持ち出してきました。まずは漢字の語句の意味調べから取り掛かります。「どれどれ・・・」と横からのぞき込むと、なかなか難しい語句を調べなければなりません。例えば「精密」、「口実」、「極端」、「蛇行」・・・。問題を見て、ちょっとびっくりしてしまいました。 実はS君が来日したのはそんなに昔のことではありません。もちろん小学校レベルの漢字も身についているわけではありません。そんなS君にとって、「精密」やら「蛇行」やらの意味を調べて書くということが、どれほどハードルが高いことであるか。 思わず「これ、やらなくてもいいんじゃない?」と口にすると、「いや、これをやっていかないと、サッカーの練習に参加させてもらえないんです」とS君。 ・・・う~ん。。。本当は難しい宿題よりも、彼の実力に合わせて小学校の漢字からじっくりと学ばせていきたいところなのですが、部活関係のしがらみもあるのか・・・・ こうなったら、ワークに付いている解答を見ながら、赤ペンで(解答を見ながら書き写した時は赤ペンで書くのがルールなのだそうです)書き写すのを見守るしかないんです。彼がその言葉の意味をどれだけ理解できているのか、いや多分、まったく理解できないまま、書き写していくしかないのです。きっとこういうことは国語に限らず、すべての教科で普通に見られることだと思います。これまでもこういうケースを幾度となく目にしてきました。 宿題って何だろう、学習って何だろう、と 強く考えさせられた酷暑の一コマでした。(TH)
外国人支援・こども支援活動
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No.70「平和」のゆくえ Ed.ベンだよりNo.70が発行されました。 今回のEd.ベンだよりのタイトルは「『平和』のゆくえ」です。 Ed.ベンだよりNo.70ダウンロード 今回は、Ed.ベンだよりの筆者が夏休みを利用してポーランドとドイツのホロコーストに関連する戦跡を巡り、改めて戦争の惨禍を振り返るとともに、私たちの戦争と平和に対する向き合い方を問い直しています。是非お読みください。 以前「武器」という単語で指し示されていたものが、いつの間にか「防衛装備品」という言葉に置き換えられてしまいました。そして「武器輸出」という言葉も「防衛装備品移転」という言葉に置き換えられています。 この言葉の下で日本は周辺の国々に「防衛装備品(=武器)」を「移転(=輸出)」するようになっています。次期戦闘機の国際共同開発(日・英・伊)もスタートしています。オーストラリアも日本の護衛艦を原型とする戦闘艦の導入を「共同開発」という名目で導入することを決定しました。フィリピンには防空レーダーの完成品が「移転」され、さらに日本で退役となった戦闘艦が払い下げられるようです。これらの動きを見ていると、本当に日本は平和主義と戦力の放棄を掲げている国なのかと首を傾げざるを得なくなります。 国内の政治状況を見ていても、排外主義的な傾向が強まっているように思える中、「戦争とは、私たちの考え方や暮らしをどのように変えてしまうものなのか」、「平和な社会を守るためには、私たちが日ごろ何をどう考えていけばいいのだろうか」ということを今まで以上に考えていく必要があると思います。 また、12月までに開催されるEd.ベンチャーの研究会、学習会、スタディツアーの案内も掲載されています。みなさま是非ご参加ください。
Ed.ベンだよりPDF
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2025年10月12日 Ed.ベン便り No.70「平和」のゆくえ
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2025年10月09日 お薦めの書籍・文献 東京大空襲
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2025年09月09日 お薦めの書籍・文献 なぜ戦争は伝わりやすく平和は伝わりにくいのか
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※しばらくエステレージャ教室の報告が滞っておりました。 もう少し頻繁に教室の様子をお伝えできるようにしたいと考えております。 【2025年8月9日 エステレージャ教室の記録より】 中学2年生のS君が久しぶりに教室に顔を出しました。 聞けば、今日はサッカーの練習がないのだそうです。このところものすごい暑さなので、大変ではないのかと尋ねると、さすがに「大変です」と苦笑いをしていました。そして昨日は練習があったのだけれど、暑すぎたのと体調を崩したので休みました、とも言っていました。 そんなS君ですが、今日は教室にたくさんの宿題を持ってきました。何をするのかと尋ねると国語のワークを持ち出してきました。まずは漢字の語句の意味調べから取り掛かります。「どれどれ・・・」と横からのぞき込むと、なかなか難しい語句を調べなければなりません。例えば「精密」、「口実」、「極端」、「蛇行」・・・。問題を見て、ちょっとびっくりしてしまいました。 実はS君が来日したのはそんなに昔のことではありません。もちろん小学校レベルの漢字も身についているわけではありません。そんなS君にとって、「精密」やら「蛇行」やらの意味を調べて書くということが、どれほどハードルが高いことであるか。 思わず「これ、やらなくてもいいんじゃない?」と口にすると、「いや、これをやっていかないと、サッカーの練習に参加させてもらえないんです」とS君。 ・・・う~ん。。。本当は難しい宿題よりも、彼の実力に合わせて小学校の漢字からじっくりと学ばせていきたいところなのですが、部活関係のしがらみもあるのか・・・・ こうなったら、ワークに付いている解答を見ながら、赤ペンで(解答を見ながら書き写した時は赤ペンで書くのがルールなのだそうです)書き写すのを見守るしかないんです。彼がその言葉の意味をどれだけ理解できているのか、いや多分、まったく理解できないまま、書き写していくしかないのです。きっとこういうことは国語に限らず、すべての教科で普通に見られることだと思います。これまでもこういうケースを幾度となく目にしてきました。 宿題って何だろう、学習って何だろう、と 強く考えさせられた酷暑の一コマでした。(TH)
2025年08月10日 子どもの居場所・学習教室 夏休みの宿題
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2025年07月11日 Ed.ベン便り No.69教育の役割とは
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2025年06月09日 お薦めの書籍・文献 ガザ日記:ジェノサイドの記録
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2025年06月05日 Ed.ベン便り No.68教育の役割を模索する
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2025年05月15日 お薦めの書籍・文献 この計画はひみつです
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授業研究会報告:第1回(3月29日) 参加者11名(対面のみ) 2025年度の授業研究会の一つの柱は、東京一極集中を促してきた高度経済成長の背後の資本主義に焦点をあてつつ、東京と地方の教育にどのような格差を生みだしてきたのか、また、その格差を解消するための道筋として、どのようなことを考えればいいのかを検討するということです。 今回は卒業論文で「脱資本主義の思想としての地方移住の可能性を考える-教育観や子育てに対する考え方に焦点を当てて-」に取り組んだ門井みなみさんに報告をお願いし、それをもとに検討を行いました。 論文に対しては、現在の学校教育が資本主義の担い手育成の装置になっていることを明言しており共感がもてた。また、地方移住に資本主義からの逃れる可能性を見出している人々がいるものの、そこで新たな価値観に出会うのではなく、再び子育ての中で資本主義に絡めとられていくことへの葛藤が見受けられることも興味深かった、という感想があがりました。 他方、今回の論文検討を通して、次の課題を検討する必要が共有されました。 ①地方に都市部とは違った価値観を見出しているとすれば、それは何であるのか、そこに学校教育を絡んでいくことができるのか。 ②人間の権利に対する考え方の浸透は、外国人労働者の処遇などの問題は見れば、地方より都市部の方が進んでいるように見えるが、この問題をどのように考えていくのか。 ③地方の中に入り込んで、都市部の資本主義とは異なる社会経済活動を構築する動きがあるとすれば、そのような具体的な事例があるのか。 以上の課題は、今後の研究会の中で深めていくことになりました。
2025年05月06日 授業研究会 【報告】3/29授業研究会
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学習会報告 日時:2025年3月29日(土) 10:30~12:00 参加者:11名 内容:「参加者それぞれの現場から排除の実態を報告し合い、現状を認識する」 今回の学習会では、小学校、中学校で見られる”インクルーシブでない状態”について語り合いました。 国際級在籍の生徒に対して試験問題にルビを振らない教員がいる。以前ほど教員が家庭訪問を積極的に行わなくなった。我が子の人間関係に過敏な保護者に対して毅然とした態度を示せないなど、様々な苦しさを抱える子どもに対して、出来ないことを学校・教員の責任を子どもに押し付けてしまっている現状。また、教室で子ども同士が多様性を認知し、受け入れるまでにかかる時間を学校が確保しづらくなっている現状が指摘されました。学校に通う子ども以上に、教職員集団や保護者の意識についても話題が及ぶ有意義な時間となりました。 今回確認された現状を踏まえ、参加者各々がどのように子ども、そして職員集団・学校現場の抱える課題と向き合っていくのか。8月の学習会に向けて考えていきたいと思います。 【参加者の感想より】 ・保護者としてと特別支援の方が手厚いからという感覚、すごく分かります。「インクルーシブにするよ」「学級を20人にするよ」が実現したらいいな..と思います。インクルーシブの理念と政策のズレが矛盾がすごく感じられて、意味のないことをどんどん進めているんだなと思いました…。クラス替えが1年ごとなのはリスク回避になるということをはじめて知り、年度替わりに毎年不安定になる子どもたちを考えると、本当に大人のためのクラス替えなんだなと思いました。 ・最近、教育と労働の関りに関する議論をした。剰余価値を増やすためには、2つのパターンがあるという。1つは単純に労働時間を増やすということ、もう1つは短時間でより多くの価値を創出可能な労働者を使役すること。教育は後者に関わっているという。今日の議論をきいていると、現状の教育は効率的な生産者を産み出すことに焦点化した教育の形に近づいているように感じる。その一方で、必ずしも教育現場で行われていることが効率的な生産者の生産に寄与するわけではないだろう。インクルーシブ教育もその一つである。インクルーシブ教育は基本的に生産性を高めることに直結するわけではない。生産性と関連の低い教育活動の価値を再確認するべきだと考える。 ・学校がインクルーシブになることには、教師意識だけでなはなく保護者の意識や制度的なものなど、様々なハードルがあることを理解しました。インクルーシブをすすめることは、とても難しく思うようにいかないのだろうと思います。「(多様性の認知・受容に基づくインクルーシブの実現には)時間とお金がかかる」という言葉が印象的でした。効率を重視する学校の中で、子どもたちがますます生きづらくなっていくのが予想されるだろうなと思うとやりきれないです。 ・東京、日本だとその子に合わせた分離することをインクルーシブと言っている現状がある中で、「インクルーシブ」というものを話すことがまず大事なのだなと思った。 ・自分の学校でいかにインクルーシブの考えが実践されていないかを痛感しました。また、この1年で自分が日本の学校教育の悪いところにとりこまれて、大切な考えが失われていたことにも気付きました。 ・学校現場での「インクルーシブではない実態」が報告され、とても参考になった。学校の教室そのものが持つ理念が、インクルーシブから離れてしまっていることがよくわかった。 ・インクルーシブな社会を目指すには、自分も学校の中で考えを戦わせたり、もっと理解を深める取り組みが必要で、まだまだフォローしきれていない子どもがたくさんいると感じた。 ・何のために学校があるのか、教室をどんな場所として位置づけるのか、改めて、突き詰めて考えていかなければと思いました。担任をしていた頃、学級目標を温かいクラスとして、運動会や合唱コンでは、力を入れずにのんびりと学級経営をしていましたが、今は難しいのですかね。 ・子どもと生活していく中で、自分のした行動、言葉掛けで子ども同士の関係性が分断されたと感じる場面があり、あのときの反省を振り返ることができました。「子ども主体に」と言われ続ける教育現場で、子どもを誘導する教師の責任は問われず、何かあったら子どもの責任、問題を子どもに求めている実態があることを認識して、違和を行動や言語化して伝えていくことを目標に教育に向き合っていきます。 ・子ども、教室のインクルーシブの前に職員間のインクルーシブを実現する必要性を感じる。意見を交換するための時間、また教育観・価値観をすり合わせることにもっと時間をかけたい。特に、若手とベテラン、20代と50・60代の教職員の乖離をつなぎ留めたいと思っています。
2025年04月15日 インクルーシブ社会を目指す学習会 【報告】3/29学習会
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Ed.ベンだよりNo.67が発行されました。 今回のEd.ベンだよりのタイトルは「2025年度定期総会と教育講演会の報告」です。 Ed.ベンだよりNo.67ダウンロード 去る2月16日にEd.ベンチャーの定期総会が開催されました。また同日午後には、「核政策を知りたい広島若者有権者の会( カクワカ広島)」の共同代表である田中美穂さんを講師としてお招きし、「今の世界の現実を自分事として未来に向けて受け止める」というテーマで講演会とパネルディスカッションを開催しました。 今回のEd.ベンだよりは新年度にあたっての会長挨拶と教育講演会の要約が掲載されております。 昨年度の総会及び教育講演会の折にも、世界のいたるところで激しい戦争が行われ、多くの人々が傷つき尊い命が失われていました。今年になってもそれらは収まる気配が見えず、益々混沌の度合いを深めているようにも見受けられます。遠くの国の戦争だから関係ない、と思うのではなく、「平和」ということについて、自分のこととして考えていく必要がどんどん重要になってきているように思います。ぜひ今回のEd.ベンだよりをお読みください。 また、5月までのEd.ベンチャーの学習会の案内も掲載しております。みなさまのご参加をお待ちしております。
2025年03月18日 Ed.ベン便り No.67総会・講演会報告
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Ed.ベンだよりNo.66が発行されました。 今回のEd.ベンだよりのタイトルは「若い先生方に是非とも考えてもらいたい問題」です。 Ed.ベンだよりNo.66ダウンロード 早くも新しい大統領の言動に世界が振り回されています。太平洋を渡ったはるかかなたの国のことだから、私たちには関係ないと思いがちですが、グローバルな時代ですから、やはりいろいろなこと、とりわけ政治経済面では大きな影響が出てきそうです。学校や教育のことは、政治や経済のこととはちょっと距離がある、と思われるかもしれませんが、決してそんなことはないと思います。 直接すぐに影響があることではないとしても、やはりこのところの世の中の動きには注意して目を配っておく必要があると思います。今回のEd.ベンだよりの内容を手掛かりとしていただければと思います。 また、2月16日に開催予定の2025年度教育講演会についてもお知らせが掲載されています。今回は「核政策を知りたい広島若者有権者の会 共同代表の田中美穂氏においでいただき「平和」について議論を交わしたいと思います。こちらにもぜひご参加ください。 さらに3月29日開催される予定の総合学習会に関するお知らせも掲載されています。午前中はインクルーシブな社会を目指す学習会、午後には外国人の子ども理解のための学習会、そして夕方からは授業研究会が行われます。関心のある学習会だけの参加でも結構ですし、一日中の参加でも結構です。ぜひご参加ください。
2025年02月05日 Ed.ベン便り No.66若い人たちに考えてほしいこと
小学校のふりかえり https://t.co/uY9bmkbKPs
— Ed.ベンチャー (@edventrue) May 14, 2023