No.28昭和生まれのカネゴン…

Ed.ベン便りNo.28が発行されました。

 今回のタイトルは「昭和生まれの『カネゴン』は、平成の終わりには、人を『喰う』までになってしまった?」です。

Ed.ベン便り No.28 カネゴン(モノクロ)←ダウンロードはこちらから(PDF)

 三途の川を渡るときには、渡し賃として六文銭が必要だそうです。調べてみると、一文は現代の貨幣価値ではおよそ10円程度らしいので、六文、つまり約60~70円程度持って棺桶に入れば、三途の川を渡ることができそうです。60~70円ではキリが悪いので、まあ100円玉1枚持っていれば十分というところでしょうか。
 あの世に渡るときには100円玉1枚あればいいはずなのに、1年に何十億ものお金を手に入れて、それでもまだ「世界標準に比べたら、まだまだこんなもんじゃない」と威勢よく居直っている「怪獣」をつい最近目にしました。不振にあえいでいたメーカーの経営にかかわるや、多くの労働者のリストラを敢行し「コストカッター」との異名で一世を風靡したカリスマも、ご自身の報酬をカットすることはまったくなかったようで、人間の欲深さを目の当たりにした気がします。このような一連の逮捕劇を見ていると、果たしてWinner Takes All(勝者が全てを得る)という市場原理主義は真っ当なものなのか、という疑問を抱かざるを得ません。何億という人がいる中でたった一人だけが勝ちうる社会は、実はこれ以上ないほど貧しく荒んだ社会なのではないでしょうか。その人が「勝者」でいられるためには、実に多くの人々の汗と涙があるのです。多くの人々の犠牲と苦労があって、「V字回復」が成し遂げられたのです。
 これはある企業の話にとどまらず、私たちの生活そのものにも当てはまることだと考えます。私たちが快適に安心して暮らせる社会は多くの人々の苦労と犠牲の上に成り立っています。その最も象徴的な事例が今この時も行われている福島原子力発電所における廃炉に向けての作業だと思うのです。
 やはり、私たちの社会の仕事のあり方、働くということの意味、そして生きることの意味をしっかりと考えながら、それらをいかに子どもに教えていくのかについても考えなければならない時を迎えているのだと思います。

 というわけで、来る2019年2月23日にEd.ベンチャーでは教育講演会を開催します。2015年に講談社現代新書より『原発労働者』を刊行された、ピアノ弾き語り音楽家でエッセイストの寺尾紗穂さんを講師としてお招きし、「原発労働と私たち・・・そして教育 ~知るべきこと 伝えるべきこと~」というタイトルでお話しいただきます。今回の講演会は、お話しだけでなく、歌あり、パネルディスカッションありの充実した内容となる予定です。
 どうぞ今回のEd.ベンだよりをお読みの上、2月23日は教育講演会に足をお運びください。お待ちしております。