No.46「歴史」を考える

Ed.ベンだよりNo.46が発行されました。

 今回のEd.ベンだよりは、クラウス・コルドンによる児童文学『ベルリン3部作』(岩波少年文庫)の紹介から始まります。

 私の父は昭和10年生まれ、86歳になります。戦前・戦中・戦後と子ども時代を送りました。その父が「戦争の時に比べれば・・・」という言葉を今でもよく口にします。

 子どもの時分とは言え、戦争を経験した父に言わせると、今の社会の「苦労」や「苦難」・「困難」といったものは、「大したものではない」ように映るのだそうです。そのことを語るときの父の視線は非常に冷たいのです。その視線の冷たさは彼の経験してきた言語に絶する厳しさを示しているように思います。そしてそれは、戦争が人々の身体と心にいかに深い傷を負わせるのかということを物語っているようです。

 戦争は人々が命を奪い合うという悲惨極まりない状況に追い込まれる、これ以上ない悲劇・惨劇です。戦争の勝者であれ敗者であれ、その悲惨さにおいて何ら変わりありません。誰にとっても不幸であり、永遠の後悔です。そのことをいかに虚飾なく想像するか、先行する世代の惨劇の経験と記憶をいかに語り継ぐか、私たちの知恵が試されています。そして過去の戦争だけでなく、子どもが自ら命を絶つという現代社会に生じている悲劇と闇にいかに思いを巡らすか、目を逸らすことなく真剣に考えていかなければならないと思います。

 ここ数年来、軍靴の足音が高く聞こえるように思えるのは錯覚でしょうか。

 是非今回のEd.ベンだよりをお読みいただきたいと思います。

 また、10月から11月にかけて開催予定の各種研究会・学習会に関するお知らせも掲載されています。オンラインでの開催ですので、是非ご参加ください。よろしくお願いいたします。